コロナ禍により、多くの企業がテレワークを導入しましたが、「自宅にWeb会議ができるネット環境がない」「子供がいるので在宅勤務ができない」といった従業員からの不満が寄せられる企業もあります。
そこで注目されたのが、コワーキングスペースやシェアオフィスといった低価格でワークスペースが利用できるサービスです。
この記事では、コワーキングスペースとシェアオフィスについて詳しく解説しています。2つのサービスの違いや、サービスを選ぶポイントにも言及しているので、最後までお読み下さい。
目次
テレワークの普及で利用者が増えているコワーキングスペースとシェアオフィスとは?
利用者が増加しているコワーキングスペースとシェアオフィスについて解説していきます。
コワーキングスペースとは
コワーキングスペースとは、「共に働く場所」という意味で、さまざまな年齢、職業の人たちが空間を共有しながら働くスペースのことです。事務所スペース、会議室などを共有しながらも互いに独立して仕事を行います。
シェアオフィスとは
シェアオフィスとは、1つのスペースを複数の企業や事業者が共有するオフィス形態をいいます。一口にシェアオフィスと言っても形態はさまざまで、会議室や談話室、接客スペースなどが用意されているものや、電話対応サービスがついたものもあります。
コワーキングスペースとシェアオフィスの違い
コワーキングスペースとシェアオフィスは似ていますが、以下の3つの点で違いがあります。
- 使用目的
- 個室があるか
- 月々にかかる費用
以下で詳しく解説していきます。
使用目的
1つ目の違いは、使用目的です。
コワーキングスペースは、共有する空間で働く人の交流に焦点を当てており、コミュニティを重視しています。他者と交流がしやすいように定期的にイベントなどが開催されているなど、他の事業者と交流しやすい点が特徴です。
一方、シェアオフィスは仕事の側面に焦点を当てています。原則、交流を目的としたスペースではありません.。ワークスペースは個別に用意されているところが多く、コワーキングスペースに比べて仕事や作業に集中しやすいという特徴があります。
個室があるか
2つ目の違いは、個室があるかどうかです。
コワーキングスペースは、1つの大きな空間をさまざま事業者が利用しています。事業者同士の交流を目的としているので、個室は用意されていないことが多いです。人脈を広げたいフリーランスの人などに人気です。
一方、シェアオフィスには個別のワークスペースが用意されています。デスクと椅子も専用のものが用意されています。ただし、個別のスペースといっても簡単なパーティションで区切られていて、上部が空いているものがほとんどです。場合によっては、他の利用者の話し声や音などで集中できないかもしれません。
月々にかかる費用
3つ目の違いは、月々にかかる費用です。
コワーキングスペースには、月額プランとドロップインがあります。ドロップインとは、月額の固定料金を払うのではなく好きな時に立ち寄り、時間単位・1日単位で利用することです。1時間300〜500円、1日だと1,000円程度です。月額プランの相場は、5,000〜30,000円程度です。
一方シェアオフィスでは、月額プランが基本でドロップインは設けられていないこともあります。月額プランの相場は、10,000〜50,000円ほどになります。一般的に、シェアオフィスの方が、コワーキングスペースよりも高額です。
コワーキングスペース、シェアオフィスと似た施設との違い
コワーキングスペースやシェアオフィスと似た施設には以下のものがあります。
- レンタルオフィス
- バーチャルオフィス
- サテライトオフィス
- 貸事務所
1つずつ解説していきます。
レンタルオフィス
レンタルオフィスは、仕事に必要な内装、デスク、椅子、キャビネットや電気、水道、電話線、インターネット回線などがあらかじめそろっているオフィスのことです。利用料金に水道光熱費や電話代、インターネット回線利用料などが含まれていることが多いです。
一般的に貸事務所よりもイニシャルコスト、ランニングコストともに抑えることができるので、起業家やフリーランスの人に人気があります。
また、必要なものがあらかじめそろっているので、開業準備期間が少なくて済むこともメリットです。
バーチャルオフィス
バーチャルオフィスとは、事業所の住所と電話番号を貸し出す形態のオフィスです。実際に部屋を借りるのではありません。バーチャルといっても、貸し出された住所で法人の登記や銀行の口座開設も可能です。
利用料金も月額500〜10,000円程度と貸事務所よりも安価です。
しかし、事業を行うには他に作業スペースを用意する必要があります。また、同一住所に複数の会社があるため、取引先などの信用を得にくいというデメリットがあります。
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サテライトオフィス
サテライトオフィスとは、企業の本社・本拠地から離れた場所に設置する小規模の占有オフィスのことです。サテライトオフィスと似たものに支社・支店がありますが、支社や支店が業務全般を扱うのに対して、サテライトオフィスは一部の業務のみを行う最低限の設備を持たせたものが一般的です。
コロナ禍により多くの企業でテレワークが導入されましたが、在宅勤務に対応できない従業員も多くいます。
そのような状況でも、サテライトオフィスなら、不特定多数との接触を回避できるワークスペースとして注目されました。
シェアオフィスやレンタルオフィスをサテライトオフィスとして利用することで、企業側にもコストを抑えられるというメリットがあり、多くの企業で導入されました。
貸事務所
貸事務所とは、事務所用に賃貸物件を借りるものです。個室を借りる事ができるので、仕事に集中でき、セキュリティー面でも安心感があります。貸主によりますが、内装を自分好みに変更することも可能です。
しかし、事務所用の物件は賃料が高く、月額10万円を超えることも少なくありません。
また、内装やデスク、椅子、キャビネットなどの什器類や水道、電気、電話回線、インターネット回線などのインフラは自分で用意する必要があります。そのために、事業開始まで時間がかかるのがデメリットです。
コワーキングスペースのメリット・デメリット
コワーキングスペースのメリットとデメリットをそれぞれ解説します。
メリット
コワーキングスペースのメリットは以下の4つです。
必要な時間のみ利用できる
上述したように、コワーキングスペースにはドロップインという30分から利用できるシステムがあり、必要な時間のみ利用することができます。
さまざまな人と交流できる
コワーキングスペースは同じ空間を共有する人の交流を重視しており、他者と交流しやすいよう定期的にイベント等が開催されます。他の利用者とコミュニケーションが取りやすく、新たなビジネスチャンスに繋がります。
仕事場でリラックスできる
カフェなどが併設された施設もあり、仕事場でリラックスできます。
整備された環境で手軽に仕事ができる
デスク、椅子、キャビネット、コピー機、電源、インターネット回線など仕事に必要な備品やインフラが用意されてるため、整備された環境で手軽に仕事を開始することができます。
デメリット
コワーキングスペースのデメリットは以下の通りです。
静かな環境で仕事に集中したい人には向かない
交流を主目的としているため、他の利用者同士の話し声が聞こえ、集中しにくいことがあります。
1人あたりの作業スペースが狭い
オープンスペースを多くの人で利用するため、1人あたりの作業スペースは狭いことがあります。
業務内容により不向きな業種がある
オープンスペースには、不特定多数の人が出入りするため、個人情報や機密情報を扱う業種には向いていません。
満席で利用できないことがある
好きな時間に好きな場所で好きなだけ作業ができる一方、満席で利用できない場合もあります。
シェアオフィスのメリット・デメリット
シェアオフィスのメリット・デメリットを解説していきます。
メリット
シェアオフィスのメリットは以下の3つです。
貸事務所より固定費が抑えられる
事務所を借りる場合、敷金・礼金などのイニシャルコストや、賃料や管理費などのランニングコストが必要です。シェアオフィスは、設備等を複数人でシェアするため、イニシャルコストやランニングコストを低く抑えられます。
アクセスのよい好立地にオフィスを構えることができる
シェアオフィスは都内の一等地などアクセスがよい好立地にあることが多く、取引先との往来、通勤などの利便性に加えて、対外的な信頼性が高まる点もメリットのひとつです。
コワーキングスペースよりは仕事に集中しやすい
シェアオフィスは、交流を目的としたものではなく、仕事の側面を重視しているため、コワーキングスペースと比べて仕事に集中しやすい環境が整っています。
デメリット
シェアオフィスのデメリットは以下の通りです。
他の利用者の話し声が聞こえ仕事に集中しにくい
他の事業者と情報交換や交流がしやすい反面、共同スペースであるため、他の利用者の話し声や音が気になって、仕事に集中できない場合があります。
セキュリティリスクがある
共同スペースは不特定多数の人が出入りするため、セキュリティリスクがあります。したがって、個人情報や機密情報を取り扱う業種には向いていません。
追加料金が発生する場合がある
シェアオフィスは、コストが低く抑えられるのがメリットですが、運営会社によっては、必要な設備やインフラが別料金になっている場合があります。
例えば、利用料金に含まれているのは共同スペースの利用のみで、会議室や接客スペース等の利用には、追加料金がかかるケースもあります。安さだけで選ぶのではなく、プランをしっかり理解してから契約しましょう。
コワーキングスペースに向いている人や企業
コワーキングスペースには、以下の人や企業が向いています。
コストを抑えたい人
コワーキングスペースは、シェアオフィスよりも利用料金が低額で、作業スペースにあまりお金をかけられない人に向いています。
一時的に利用できる作業場所が欲しい人
コワーキングスペースには、ドロップインという、好きな時間だけ利用できるシステムがあります。シェアオフィスでは最低1ヶ月からの契約が必要です。それに対して、コワーキングスペースは一時的に作業スペースが必要な人に向いています。
他の人と交流しながら人脈を広げたい人
コワーキングスペースは、利用者の交流を目的としているため、交流のためのイベントなども開催されます。さまざまな年齢や職業の人たちと交流し、意見交換をしたり、人脈を広げたい人に向いています。
シェアオフィスに向いている人や企業
シェアオフィスは以下のような人や企業に向いています。
個別のワークスペースが必要な人
コワーキングスペースでは、他人の所作や話し声が気になり集中できないという人も多いと思います。それに対して、シェアオフィスでは、共同スペースだけではなく個別スペースも用意されているところが多いので、仕事に集中したい人に向いています。
公私の切り替えをしたいフリーランスの人
在宅で仕事をしているフリーランスの人などが、公私の切り替えをしたい場合にも、シェアオフィスは向いています。在宅では、公私の切り替えがうまくいかない人でも、シェアオフィスに入れば自然と仕事モードに切り替えることができるでしょう。
起業したばかりの人や設立したばかりの企業
スタートアップ直後は、できるだけ余計なリソースを使いたくないものです。その点、事務所を借りるより、コストを抑えることができるシェアオフィスはこのような人や企業に向いています。
自分に合ったコワーキングスペースやシェアオフィスを選ぶ方法
自分に合ったコワーキングスペースやシェアオフィスを選ぶ場合、以下の3つのポイントをおさえましょう。
- 料金は予算の範囲内か
- アクセスしやすい立地にあるか
- 自分に合ったサービスがあるか
1つずつ解説します。
料金は予算の範囲内か
1つ目は、利用料金が予算の範囲内かどうかです。特にスタートアップ時は、できるだけコストを抑えたいところです。イニシャルコストやランニングコストが過度な負担にならないようにしましょう。
また、使う時間を想定し、少ないようならコワーキングスペースのドロップインを利用し、多いようなら月額制のコワーキングスペースかシェアオフィスを選びましょう。
似たサービスのレンタルオフィスでは、保証金等がイニシャルコストとしてかかる場合が多いのですが、コワーキングスペースでは不要なことが多いです。
アクセスしやすい立地にあるか
2つ目は、アクセスしやすい立地にあるかどうかです。通勤や取引先のことを考えると、アクセスしやすい立地にある方が望ましいです。公共交通機関でアクセスしやすい立地にあるか確認しましょう。取引先企業や、同業者の集まっているエリアを選択するのもよいでしょう。
また、周辺環境などに気を遣って選びましょう。商談に使えるファミレスや喫茶店、リフレッシュできる施設などが近くにあれば、より便利です。
コワーキングスペースやシェアオフィスを選ぶ際は、必ず現地調査をおこない、利便性や周辺環境を確認したうえで選択してください。
自分に合ったサービスがあるか
3つ目は、自分に合ったサービスがあるかどうかという点です。コワーキングスペースやシェアオフィスは運営会社によってサービスが異なります。いくら利用料金が安く立地がよくても、自分に合ったサービスがなければ利用する意味がありません。
サービス内容としては以下のものが考えられます。
- 個室
- フリーWi-Fi
- 会議室
- フリードリンク
- 住所の利用
- 電話応対
- 電話番号
自分に必要なサービスがすべてそろっているところに絞ると選択肢が狭まります。どうしても自分のビジネスに欠かせないサービスが揃っている所を選びましょう。
まとめ
コワーキングスペースとシェアオフィスについて、2つのサービスの特徴、メリット・デメリットやサービスを選ぶ際のポイントまで解説してきました。大切なことは、コストや立地だけで決めるのではなく、自分の目的に沿ったサービスを選択することです。
シェアオフィスやコワーキングスペースに興味のある方は、ぜひハブスペにご相談ください。