行政書士が開業するにあたって、事務用品がそろっているだけでなく全体的な費用を安く抑えることができることから、レンタルオフィスを利用する人が増えてきました。
需要が拡大し物件数も増えてきたレンタルオフィスですが、どんな点に着目して選べば良いでしょうか。
この記事では、行政書士がレンタルオフィスで事務所を開業する際の条件やメリット・デメリットについて説明します。
目次
行政書士事務所を開業する条件
行政書士は資格試験に合格すると、独立して開業することができます。ただ開業する際は、様々な準備が必要です。
行政書士事務所を開業するオフィスの条件として、主に4つのポイントを見ていきましょう。
- 登録予定の行政書士会に確認する
- 事務所の使用権限が適正である
- 機密情報を保持できる環境である
- オフィスの設備が整っている
下記では、ポイント別に詳しく解説していきます。開業する際の条件をしっかり把握して、開業手続きをより確実でスムーズに行えるようにしていきましょう。
登録予定の行政書士会に確認する
事務所を探す際にまず確認しておかなければいけないことは、開業する際の事務所の必要条件です。
必要条件は、事務所設置の要件や、行政書士会による開業時の事務所立ち会いの有無、提出する書類などが都道府県によって異なります。登録予定の行政書士会に確認することを忘れないようにしましょう。
また行政書士会の規定や登録手続きなどは毎年アップデートすることもあるので、ネットに載っている情報は必ずしも最新で正確とは言えません。行政書士会に資料を請求したり直接電話で聞いてみたりして、確実な情報を得るようにしましょう。
事務所の使用権限が適正
オフィスを構える際は、貸主・行政書士会ともに行政書士事務所としての利用許可を得ていることが必要条件です。
賃貸物件にて開業する場合、各都道府県の行政書士会に「事務所の使用権を証する書面(事務所としての条件に合致していることを証明する書面)」の提出が必要になります。
いざオフィスを決めたとしても、行政書士事務所としての利用が許可されていない物件は事務所の使用権限が適正とは言えず、事務所として使用できない場合があるので注意しましょう。
賃貸物件のなかには、事務所利用不可の物件もあるので、不動産の管理会社や大家さんに確認することが大切です。逆に、事務所利用推進の物件もあるので、オフィスとして物件を探す際は要チェックしてみてください。
機密情報を保持できる環境
行政書士は、行政書士法にて顧客の秘密を守る義務が定められています。また取り扱った案件すべてを記録・保管することを徹底する必要があるため、より強固なセキュリティを保持できる環境が必要です。
機密情報を書面で管理する場合や、コワーキングスペースなど社外の人も立ち入る可能性がある場合は、施錠ができる金庫や書庫の設置は必須と言えるでしょう。
また、書面ではなくパソコンやiPadによる電子契約でコンプライアンス遵守することも可能です。大切な顧客情報を守るために、業務内容に適した環境を選びましょう。
オフィスの設備が整っている
行政書士会支部による事務所調査の際、申請書類の内容の確認のほかに、事務所の環境もチェック事項のひとつです。実際に行政書士会支部の役員が事務所を訪問し、主に
- 守秘義務をしっかり守れる環境か
- 行政書士として業務を全うするに値する事務所か
の2点に着目し調査が行われます。
依頼者の相談内容が外部の人に漏れることなく、また机や椅子だけでなく金庫や電話・FAXなど必要な事務用品が揃えられていて、行政書士として業務をするにふさわしい環境かどうかを厳しくチェックされます。
開業手続きがスムーズに行えるように、設備環境をしっかり整えて準備しておきましょう。
行政書士がレンタルオフィスで開業するメリット
レンタルオフィスを行政書士事務所として利用するメリットは具体的にどんなことでしょうか?
下記では、レンタルオフィス(シェアオフィス)、賃貸オフィス、自宅オフィスのメリット・デメリットを表にまとめたものです。それぞれを比較して見てみましょう。
メリット | デメリット | |
レンタルオフィス(シェアオフィス) |
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賃貸オフィス |
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自宅 |
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ここからは、レンタルオフィスのメリット・デメリットについて説明していきます。
初期費用を抑えられる
レンタルオフィスのメリットは、入居時の保証金が安く業務に必要な事務用品がそろっていることから、初期費用を抑えられることです。
賃貸オフィスの場合は、敷金・礼金に加え約半年以上分もの賃料を保険金として支払わなければならない場合が多く、初期費用だけで数百万の単位になってしまうことがあります。
その点、レンタルオフィスはベースとなる賃料が低く約3ヶ月分ほどの保証金を支払うだけで済むので、初期の固定費用を抑えることができます。
また、レンタルオフィスには机や椅子・収納スペースなど業務に必要な設備が最初から整っていることもメリットです。そのため固定費用・設備費用ともに全体的にコストを抑えることが可能です。
素早くオフィスを立ち上げられる
レンタルオフィスは、契約してから早いところで数日で入居できるところが多く、また最初からオフィス家具や電話・ネット回線が整っていることもメリットです。
賃貸オフィスの場合は、貸主による審査があるため入居するまでに1ヶ月以上かかることもあり、そのうえ設備の手配や内装工事など、初期設備に時間がかかります。
レンタルオフィスは入居してすぐに業務に取りかかる環境が整っているため、スピーディーな立ち上げが可能です。
法人登記ができる
レンタルオフィスは法人登記を問題なく行えるところがほとんどなので、司法書士事務所開業にあたり安心して利用できます。
ごく稀に登記をオプション扱いにしていたり登記自体を認めていないオーナーや事業所もあるので、契約する際には法人登記の可否を事前に確認してみましょう。
1等地の住所使用によりブランディングが可能
行政書士事務所を開業する上で、顧客が安心して訪問できる立地が重要です。また住所をインターネットや名刺で公開する機会も多く、オフィスを一等地に構えることは信頼感にも繋がります。
一等地にオフィスを構える場合、賃貸だと賃料や初期費用など高額なコストがかかりますが、レンタルオフィスは主要駅の近くやビジネス中心街などの一等地にあることが多い点が特徴です。
レンタルオフィスには、一等地のオフィスを低コストで借りることができ、顧客も訪問しやすいというブランディングとアクセスの両面で相乗効果を得られる利便性があります。
行政書士がレンタルオフィスで開業するデメリット
レンタルオフィスにはたくさんのメリットがある一方で、デメリットもあることも事実です。ここではレンタルオフィスの主なデメリットを3つご紹介します。
場所が狭いため書類置き場に困る
レンタルオフィスは利用できる専用スペースが限られているため、顧客情報などの書類が膨大になってくると、置き場に困る可能性があります。
特に、個人情報が多く含まれている書類は、鍵のついた書庫に保管する必要があります。ひとつの書庫がいっぱいになってしまった場合は新しい書庫を確保しなければなりません。
タブレットなど電子契約で個人情報や契約を遵守する方法もあります。オフィスの広さによって書類の置き場に困った場合は、できるだけ荷物を抱えないような工夫が大切です。
セキュリティ面で不安な場所も存在する
受付スタッフが常駐していないレンタルオフィスの場合、入退室の管理においてセキュリティ面の不安が残るというデメリットがあります。
またレンタルオフィスの専用スペースは個室タイプですが、半個室タイプの場合、部分的に仕切りがあるのみで完全に独立した環境ではありません。そのため、どうしても顧客との話し声や電話対応の声がまわりに聞こえてしまい、プライバシーにおいて不安な面もあります。
また専用スペースの個室タイプでも、建物の造りによっては壁が薄かったり完全に防音できる環境ではなかったりする場合もあるため、業務内容がまわりに聞こえやすいことを理解したうえで利用することが必要です。
業務を行ううえでセキュリティは重要な項目のひとつなので、オフィスを決める前に内覧など自らオフィスに足を運び確認しましょう。
レンタルオフィスを選ぶ上でのポイント
では、レンタルオフィスで行政書士事務所を開業する場合、何を基準に選べば良いのでしょうか?ここでは、レンタルオフィスを選ぶうえでのポイント3つをご紹介していきます。
オプション料金は安いか
レンタルオフィスを利用するにあたって、毎月の出費は最低限に抑えたいものです。
そこで注意したいことは、月額の固定費用とオプション料金です。毎月の出費は、賃貸料金だけでなく水道光熱費や通信費用、なかには共益費の支払いが必要なレンタルオフィスもあります。
また専用の個室は基本料金で利用できますが、会議室の利用や共用スペースの利用はオプションとしてその都度別途料金がかかります。オプション料金は、提示された賃貸料金のなかには含まれていないので、事前に確認することが大切です。
交通アクセスが良いか
レンタルオフィスを選ぶうえで、立地はとても大切です。立地が良いと交通アクセスもよく顧客の利用頻度も増え、自らのモチベーションも上がり全体的なパフォーマンス向上に繋がります。
また都心にオフィスを構えれば、名刺やネットに記載した際に好印象を与えられる大きな武器になるでしょう。取引先からの信用を高める意味でも、交通アクセスの良い土地を選ぶようにしましょう。
セキュリティーは厳重か
レンタルオフィスは人の出入りが多いので、顧客の個人情報を扱う行政書士としてセキュリティが厳重かどうかは、特に重要なポイントです。
受付が常駐していないレンタルオフィスの場合は、ほとんどが会員カードやIDカードの認証がなければ入れないようになっています。しかし裏口の扉の施錠がされていなかったり、非常口の扉から入れたりする建物もあるので、オフィスだけでなく建物のセキュリティをしっかりチェックしておきましょう。
またネットワークセキュリティも大切なポイントです。レンタルオフィスでは共有Wi-Fiを利用しているところがほとんどなので、情報漏洩や不正アクセスの危険性があります。専用の暗号キーやSSDIを取得しているなどサイバーセキュリティ対策をしているレンタルオフィスを選ぶようにしましょう。
【行政書士にオススメ】レンタルオフィス5選
事務所開業やリモートワークによりレンタルオフィスの需要が拡大し、レンタルオフィスも増えてきました。しかしいざ利用しようとなると、どのレンタルオフィスが良いのか迷ってしまう人も多いと思います。
ここでは、行政書士事務所を開業する際におすすめのレンタルオフィスを5つご紹介します。レンタルオフィスで開業を考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
エグゼクティブセンター
「エグゼクティブセンター」は、国内では東京8カ所、横浜1カ所にオフィスを構える大型ワークスペースセンターです。日本だけではなく、活動拠点は世界で15カ国以上180拠点に及び、世界的に実績があります。
プライベートワークスペース、シェアワークスペース、会議イベントスペースの3つのサービスがあり、そのなかでコワーキングプランやバーチャルオフィスプランなど、それぞれの働き方に合ったワークスペースを選択できるところが人気です。
またすべてのオフィスが駅直通やビジネスエリアの中心地であり、高級感溢れるビジュアルであることも最大の魅力です。コンシェルジュ・警備員が常駐であることはもちろん、コンサルティングや秘書業務のフルサービスをはじめ、オフィス会員ならではのサービスも豊富にあります。
使用ラックやキャビネットは防犯性の高いキーシステムでロックされ、ネットワーク回線は専用のデータセンタースペースで管理されています。建物だけでなくネットワークシステムともに強固なセキュリティで守られているため、安心して業務に取り組むことができるでしょう。
公式ホームページ:エグゼクティブセンター
ビジネスエアポート
「ビジネスエアポート」は、東京に19カ所、横浜1カ所、大阪梅田1カ所にオフィスを構えるレンタルオフィスセンターです。
「東急不動産ホールディングス」の中核企業である「東急不動産」が手掛けるオフィスで、働き方改革やIT・AI技術の発展によるワークスタイルの変化に対応したビジネスライフをサポートしています。
家具備え付けのサービスオフィス、シェアワークプレイス、会議イベントスペースの3つのサービスがあり、有人受付やライブラリーコーナー、郵便物発送代行サービスやルームクリーニングなど多くのサービスを無料で受けることができます。
また料金プランも、登記可能な家具備え付けスペースの「サービスオフィス」プランと、共用ラウンジ利用の「シェアワークプレイス」プランの2つに分かれていて、プランが明確な点もおすすめポイントです。
都心や繁華街の立地が多く、交通アクセスも抜群です。インターネットで見学予約ができるので、気になる人はぜひ公式ホームページから問い合わせてみてください。
公式ホームページ:ビジネスエアポート
天翔オフィス
「天翔オフィス」は、東京27カ所を拠点とする、安い・好立地・駅近を売りとしているレンタルオフィスです。
シンプルなデザインと利便性を追求しており、敷金・礼金無しで初期費用は契約金と家賃のみ、全室個室タイプ、24時間利用可能という、コストパフォーマンスが高い点が人気のひとつです。
すべてのオフィスが東京23区内という好立地にもかかわらず、安いところで月額3万円〜という低料金で利用できるところも魅力です。
多くの利用者が会社経営や事務所として利用し、口コミ評価も高いことから、コストを抑えて手軽に事務所を構えたい人にはおすすめのレンタルオフィスです。
インターネットで内覧予約がきるので、気になる人はぜひ公式ホームページから問い合わせてみてください。
公式ホームページ:天翔オフィス
リージャス
「リージャス」は、北海道から沖縄まで国内全173カ所を拠点に展開する大規模チェーン型のオフィスプロバイダーです。
レンタルオフィス、フレキシブルオフィス、コワーキングスペース、バーチャルオフィス、メンバーシップ・時間貸し会議室など多くの選択肢があり、法人から大企業・士業の人まで幅広い分野での利用可能な点が人気です。
また「リージャス」ならではの4つのブランドからオフィスを選ぶことができ、それぞれのイメージやコンセプトに合ったデザインからオフィスを選択できるのも他にはないポイントです。
場所も一等地のハイグレードオフィスであり受付スタッフが常駐、しっかりサポートしてくれることから、ひとりで開業しても、電話対応や顧客応対で信用を損ねることもないでしょう。
内覧予約や料金に関することは、電話とメールにて受け付けているので、気になる人はぜひ公式ホームページから問い合わせてみてください。
公式ホームページ:リージャス
nex THE HUB
「nex THE HUB」は、国内に773カ所の拠点を展開する、デザイン・機能性・コストパフォーマンスの3つをモットーに繰り広げる複数拠点型のレンタルオフィスです。
プライベートプラン、シェアプラン、バーチャルプラン、オールアクセスプランの4つから選択できますが、行政書士としてオフィスを構える際にはプライベートプランがおすすめです。
オフィス家具やインターネット環境が整っていることをはじめ、申し込みから利用開始まで最短10日というスピーディーな対応が魅力のポイントです。
全拠点が駅近というビジネスロケーションかつ低料金を実現したこのオフィスは、ビジネスに集中できる環境であることから高い生産性につながるとともに、取引先の企業からも高評価を得ています。
内覧予約はインターネットから気軽にできるので、気になった人はぜひ公式ホームページから問い合わせてみてください。
公式ホームページ:nex THE HUB
まとめ
今回は、行政書士がレンタルオフィスで開業する際のメリット・デメリットから選ぶ際のポイントについて紹介してきました。
レンタルオフィスを事務所として利用する際、メリット・デメリット両面があることは当然ですが、レンタルオフィスの最大の利点は、コストを抑えながら一等地にオフィスを構えることができるという点です。
物理的な広さやセキュリティ面など不安な点があることも事実ですが、許容範囲の中でと自ら工夫して唯一無二のビジネスを組み立てることも、開業ならではの醍醐味です。
近年ではレンタルオフィスの事業拡大が著しく、これから先も新しいレンタルオフィスが新規オープンすることがしてくるであろうと予想されます。それぞれのビジョンやイメージにより近いスタイルで開業できるよう、複数のレンタルオフィスに足を運び環境や設備をしっかり把握したうえでオフィス選びをしていきましょう。